アドラー心理学を学んでおけば、日ごろの人間関係について、前向きに考えることが出来、人生の価値観も一変します。今回は、社会人として確実に押さえておくべきアドラー心理学の内容をご紹介していきます。
前回の内容はこちら、仕事が辛い、辞めたい。そんなお悩みを解決します!
この記事は
「嫌われる勇気」
岸見一郎、古賀史健(著)
ダイアモンド社
を参考にしています。
始めに
「課題の分離」と「目的論」この2つについて理解したら、誰もが思い至る疑問があります。
課題の分離を行って、自分の課題だけこなしていけばいいのであれば、自分の事だけ考えて生きていけばいいの?大切な他者(家族や友人)に対しても「コレは私の課題。コレはあなたの課題だから、勝手に頑張ってね」と、突き放して考えるのが本当に正しいと言えるのか。という疑問です。
アドラーは決して自分の事だけ考えて生きていきなさい。と言っているのではありません。初めの一歩として課題の分離を説いているだけであってアドラー心理学のゴールはもっと深いところにあります。
アドラー心理学の一つのゴールとして
自分を受け入れ(自己受容)、他者を信頼し(他者信頼)、他者に貢献(他社貢献)する。この3つのサイクルを回すことで、人生はより豊かになり、幸せになれる(ゴールできる)と言っています。

「自己受容」「他者信頼」「他社貢献」言葉では簡単に言えますが、実際にこれを実践していくのはとても難しいと感じる人が多いと思います。
当然僕も、すべてを完全に理解しているわけではありません。しかし、そんな僕でも「嫌われる勇気」を読んで、アドラー心理学知り、自分の生活に活かし、生き方(ライフスタイル)を大きく転換することが出来ました。
是非これから先の内容を読んで、あなたも、新たな自分への一歩を踏み出しましょう!!
十人十色のライフスタイル

「ライフスタイル」と聞くと、その人の生活リズムや趣味なんかを想像しますが、アドラー心理学でいう「ライフスタイル」は狭義的には性格や気質の事。広義的には世界観や人生観まで含んだものを「ライフスタイル」と言います。
この「ライフスタイル」はまさに十人十色で、この世に同じ人は存在しません。
この「ライフスタイル」つまり、「生き方」は基本的に多くの人が変えるのを嫌がります。同じ生き方で居る方が楽だし、新しい生き方に挑戦するのは勇気がいるからです。
そうやって新しい生き方に挑戦せず、自分の殻にこもっているだけでは世界は変わらないという事をまずは認識しましょう。
「対人関係」は傷つけ、傷つけられるもの

多くの人が陥る、「対人関係の悩み」アドラーは、この世のすべての悩みは「対人関係」だと言っています。
対人関係の中で傷つかないなどありえません。対人関係に踏み出せば大なり小なり傷つくし、あなたも誰かを傷つけています。それこそ、悩みを消し去りたければ宇宙で一人で生活するしかない。
そんな中で、自分の課題に向き合う為に必要なのが。「優越性の追求」です。
人には本来、成長したい。という本能があります。子供が成長していくように、いくつになっても理想の自分のに向かって努力する。無力な状態から脱したい。これが「優越性の追求」です。
一方この「優越性」と対をなすのが「劣等感」です。
この「劣等感」も成長には不可欠なものです。劣等感を健全な努力で乗り越えようとすることは素晴らしい事です。
例えば、スポーツなどでライバル同士切磋琢磨する等、非常に効果的に成長していく事が出来る。「劣等感」も必要であると言えますよね。
ですが、この「劣等感」の使い方を間違うと、大変なことになります。それは「劣等感」を言い訳にすることです。これを「劣等コンプレックス」と言います。
例えば、テストの点数が周りの友達と比べて低いという劣等感を持っていたとします。そして、「自分があの人と比べてテストの点数が悪いのは、学力の低い両親のせいだ」などと、責任を転換して他者に責任を負わすような考え方を言います。
更にはこの「劣等コンプレックス」を受け入れられない場合人は偽りの優越感に浸ります。これを「優越コンプレックス」と言います。先ほどの例でいえば、自分の親が学力が低いせいで自分のテストの点数が悪いことをあたかも自分の自慢話のように語ってしますことです。
この優越コンプレックスを強調しだしてしまうと、ヒトは成長どころではなくなってしまいます。
他者を蹴落とし、安易に自分が優れているように見せる人は劣等感を健全な形で克服できず、優越コンプレックスに陥ってしまったと言えるでしょう。
こういう人は、自分の不幸さを武器に相手を支配しようとします。自分の劣等感、つまり「不幸で居ること」が自分の優越性だと勘違いしているのです。
健全な劣等感というのは、他者に比べて感じるのではなく、「理想の自分」と比べて、今の自分に感じるものなのです。

少し難しいですが、とても大切なことなのでしっかりインプットしておきましょう。
直面する人生のタスク
アドラー心理学では、対人関係において行ってくべき人生のタスクが3つあります。
「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」の3つです。
この三つのタスクをこなす事で達成される目標として、行動面と心理面の二つの側面から見た目標があります。
行動面の目標は、①自立する事 ②社会と調和して暮らせること
心理面の目標は、①私には能力があるという意識 ②人々は私の仲間であるという意識
これらの、目標は「仕事」、「交友」、「愛」のタスクと向き合っていく事で達成されます。
仕事のタスク(仕事での人間関係)
「仕事のタスク」とはつまり仕事の間だけで完結する人間関係の事です。
仕事のタスクは、「対人関係」という枠組みで見た時、一番ハードルが低いものになります。
同じ「成果」に向かって行動しますし、就業時間が終われば他人に戻れるからです。
ここで躓いてしまった人が、ニートや引きこもりの人たちです。
交友のタスク(友達との人間関係)
交友のタスクは仕事を離れた、もっと広い意味での交友関係の事です。
コレは、強制力が働かないだけに、深めるのも踏み出すのも難しい関係になります。
交友のタスクについては、多ければ良いというものではない事は分かると思います。
愛のタスク(家族との人間関係)
愛のタスクは3つのタスクの中で一番難しいものになります。
愛のタスクには2つの側面があり、一つは恋愛関係。お互いを束縛し合い、身を寄せ合うような関係ではなく、自分が自然な状態で居られる様な関係が理想です。
そしてもう一つは親子関係。親子は強固な鎖でつながれた関係で、非常に難しいものであると言われています。しかし難しいからと言って逃げてはいけません。
それでは、この3つのタスクをこなしていくための、具体的な考え方に進んでいきましょう。
人生のウソ
アドラー心理学には、「人生のウソ」という言葉があります。この「人生のウソ」はとても厳しいモノで、課題の分離が出来ている人でなければ100%受け入れられません。
例えば、上手く行かない事をすべて他者のせいにしてしまう人がいます。そういう人は、半ば本気で、「誰よりも尊い存在である自分」を大切にしない他者のせいで、物事が上手く行かないと、思っており、他者との人間関係を終わらせようとします。
これは非常に極端な例ですが、これが「人生のウソ」です。
他にも、上司と関わりたくなくて、嫌いだと感じているとします。上司のあんな所やこんな所が悪いからだと上司の性格や外見、ライフスタイルのせいにします。ですが、あなたが向き合うべき本当の課題は、上司と話したくないという「目的」が先にあって、「嫌い」という感情、「この人が苦手」というライフスタイルをあなた自身が作り出しているという事です。
他人のせいにすることで、人生のタスクから逃げてはいけません。あなたのライフスタイルはあなた自身の手で選ばれています。
人生のウソと向き合うのは非常に勇気を伴う作業です。ここで本当の自分の「目的」と向き合わないと決して前に進めない事を理解してください。
承認欲求を否定する
アドラー心理学では、他者に認められたい、褒められたいという「承認欲求」を明確に否定しています。
確かにこの感情は人間本来の遺伝子レベルで存在する感情ですが、これに流されてはいけません。
貴方は他者の期待を満たすために生きているわけではないし、他者もあなたの期待を満たすために生きているのではないのです。
「自分が自分の為に、自分の人生を生きないならば、いったい誰が自分の為に生きてくれるだろうか」というユダヤ教の言葉があります。
あらゆる他者に忠誠を誓い、承認を求めると、大きな矛盾に陥ってしまいます。そうなってしまえば、承認どころか不誠実の烙印を押されてしまいます。
人生のウソに惑わされ、他者の視線におびえて自分が自分であることを抑えるのは、自分自身の人生を放棄する無責任な行為であると認識しましょう。
もちろん簡単なことではありません。承認欲求は自然なものです。
ですが、僕たち人間はその欲求に抗うことが出来ます。
勇気を振り絞って、他者の評価を気にかけず、嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを払って初めて、僕たちは自由になれます。
他者に嫌われることを恐れてはいけません。それよりも、あるがままに自分の人生を生きるという、勇気を持つことが大切です。
対人関係のゴール
これまで、「課題の分離」や「目的論」、「人生のタスク」と「人生のウソ」について学んできました。
その上で、課題の分離をしつつ、対人関係を良好にするにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、あなた自身が課題を分離し他者に貢献できるようになり、劇的に成長したとしても、変わるのはあなただけであることを正しく認識しましょう。あなたが変わり、他者へのかかわり方が改善したとして、他者も少なからず影響を受けるでしょうが、そこであなたに対して他者がどう接するかを決めるのはあなたの課題ではなく、他者の課題です。
そこを正しく認識すれば、対人関係のカードは自分が握っていることが分かります。
何しろ、相手がどういう態度を取ろうが関係ない、自分は自分の思った通りに対人関係を構築していけばいい。という事になりますから。
お互いを干渉し合わない、絶妙な距離を見つけて課題の分離によって良好な関係を保つことが大切です。
そして、他者との良好な関係を構築していく上で、必須の概念、対人関係のゴールともいわれている概念が「共同体感覚」です。これは、「自分はこの世のすべてのモノの一部であり、すべてのモノは自分の味方であるという事実」の事です。
これは非常に難しい概念で、僕自身もほとんど意味が分かっていません。なのでここからは僕なりの共同体感覚の認識になりますが、どうそお付き合いください。
自分への関心、自己への執着、こういったものに捉われていては、まず幸せにはなれません。大切なのは他者への関心です。自分は世界の中心ではない、世界の一部であることを正しく認識する事。これが「共同体感覚」です。
自分への関心が強すぎると人生のウソに繋がり、自分に何も与えてくれない他者に対して、仲間ではなく敵であるという認識を持ってしまいます。そのままでは、遠からず多くの仲間を失うでしょう。
関心を他者に切り替え、自分はこの人に何を与えられるかを考えることが、幸せに繋がるという事です。
難しい…!!でも頑張って!!
いかがでしたでしょうか、ここまでの内容が本当に理解できれば、自分が向き合うべき本当の課題と、それを達成することの困難さが分かり、逃げ出したくなるでしょう。
ですが、アドラー心理学を知ってしまったあなたはもう戻れません。何かの宗教みたいですね(笑)
誰もが変わりたい、成長したいと思っているところに「人は変われるんだよ」と優しい言葉をかけてくれるのがアドラー心理学です。しかし片足を突っ込んでみると、向き合うべき現実の重さに逃げ出したくなってしまいます。
ですが、自分の向き合うべき本当の課題が見えてしまったあなたは、もう元の自分には戻れないという意味です(笑)
別の記事では、いよいよ、アドラー心理学の総仕上げに入っていきますので是非ご覧ください。
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